大阪府能勢町の野外活動施設「豊中市立青少年自然の家わっぱる」には哺乳類から植物や菌類まで、実に様々な生きものが棲んでいます。 しかも、その一つ一つを観察していくと、それぞれが生きていくために複雑に繋がり合い、森をつくっていることがわかってきます。ここでは、その小さな一つ一つの命を紹介しようと思います。

2019年7月28日日曜日

オニヤンマ

大きさ9~11cmにもなり、日本のトンボでは最大種です。生育場所は小さな河川とされていますが、わっぱるでは大路次川ではなく、南の沢、北の沢あるいはキャンプ場内の水路でなどで幼虫が見つかります。成虫はよく、道をパトロールするかのように行ったり来たりしています。時には人の頭上をかすめるように飛ぶので大型トンボを実感できて迫力満点です。(De)
オニヤンマの幼虫










幼虫の顔(羽化後の脱皮殻)

2019年7月20日土曜日

ミドリカミキリ

ミドリカミキリです。大きさ12~20㎜ほどの小型で細く、スマートなカミキリムシです。色は緑色の強い個体、赤銅色のもの、その中間のものと多様です。成虫はガマズミ、ウツギなどの花粉を食べますが、コナラ、クヌギなどの伐採木や薪にもよく飛来します。幼虫はそれら広葉樹の材を食べて育ちます。美しいカミキリムシですが時にはしいたけ栽培のほだ木が食害を受けることもあります。(De)

2019年7月19日金曜日

コヤマトンボ

 わっぱるではよく建物の中に生きものが迷い込んできます。今日の客はコヤマトンボです。
黒地に黄色の縞模様でオニヤンマを一回り小さくしたようなトンボです。
正面から見ると、黄色の一本ラインが目立ちます。これが目印です。また、なんといっても、深く透きとおるような美しい緑色の大きな複眼がチャームポイントです。わっぱるあたりの大路次川上流部から池田市川西市あたりの猪名川中流部まで見ることができ、猪名川流域では普通に観察されるトンボです。(De)

2019年7月17日水曜日

オオコンボウヤセバチ


 ハチのなかまといえば普通、私たちが思い浮かべるのはスズメバチやミツバチといったハチたちです。しかし、寄生バチ(「ヤドリバチ」ともいう)のなかまは種類が比較にならないほどたくさんいます。特に多いのはヒメバチのなかまとコマユバチのなかまです。国内で確認されている種数はスズメバチ科の28種に対し、ヒメバチ科1500種以上、コマユバチ科500種以上と2科あわせて2000種を超えます。寄生の対象もさまざまで、昆虫の幼虫や蛹、あるいはクモ類の成体に卵を産み付けます。
 画像はコンボウヤセバチ科のオオコンボウヤセバチでハナバチのなかまなどのハチ類に寄生をします。寄生バチは種類が多いだけでなく、生態も多様でまだまだ知られていないことが多い分野でもあります。(De)

大型カミキリムシの幼虫に寄生するとされているコマユバチ科ウマノオバチ。

2019年7月13日土曜日

セマダラコガネ

長さ10㎜ほどのコガネムシのなかまで、北海道から九州まで、普通にみることができます。上翅のまだら模様が特徴ですが、個体間の変異が大きく、なかには全体に黒っぽいものもいます。とても愛らしい風貌ではありますが、幼虫は芝生の根を食害し、ハワイやアメリカ本土では帰化害虫として悪名をとどろかせているようです。ところ変われば・・・
ですね。(De)

2019年7月9日火曜日

オサムシのなかまたち

 オサムシとは一般的に甲虫目オサムシ科オサムシ亜科のうち比較的大型の一群をいいます。オサムシのなかまはカタビロオサムシのなかまを除き、下翅(飛ぶための内側の羽根)が退化して無く、行動範囲が狭いために地域ごとに種分化が進んでいて色などでそれぞれの特徴があります。
食性は雑食性ですが、肉食性が強く、ミミズや他の昆虫を捕食するので、しっかりした大顎(あご)を持っています。
わっぱるでは現在、3種のオサムシのなかまが確認できていますのでそれを紹介します。

マヤサンオサムシです。このオサムシは北陸から近畿地方にかけて分布している種で、美しい赤銅色をしています。
マイマイカブリです。もっぱらカタツムリを捕食するので、殻に引っ込んで身を守るカタツムリを捕らえるために、頭部から胸部にかけて細長いこのような特異な形に進化したと考えられています。
また、マイマイカブリは尾部から酸性の刺激のある液体を噴射します。皮膚につくと炎症を起こしたりしますので安易に素手で掴んだり、顔を近づけたりすることは避けなければなりません。
クロカタビロオサムシです。ガッチリとした幅の広い体型が特徴でガの幼虫を好んで食べます。また、このオサムシは飛ぶことができるので、生息範囲も広く、地域による変異は見られない種です。
オサムシは愛好家・標本の収集家も多く、漫画家の手塚治虫氏が自身のペンネームにしてしまったことは有名です。(De)



2019年7月4日木曜日

クチベニマイマイ

梅雨の季節といえばカタツムリですね。先日、大路次川河畔の林でクチベニマイマイを見つけました。このカタツムリはおもに近畿地方に生息し、平野部の公園や神社林などでもサクラやコナラなどの広葉樹の樹上でよく見かけます。殻の口の部分が赤く染まっていることがこのカタツムリの特徴で名前の由来でもあります。殻の口の先端が外側に反り返っているのはこれ以上、成長しない、つまり成長しきって大人(成貝)になった証といえます。また、頭部の大きな触覚の間に瘤(こぶ)のように盛り上がった部分があります。これは頭瘤(とうりゅう)といって、発情のサインとされています。カタツムリは雌雄同体なので異性を求めるということはないのですが、やはり、別個体を求めて交尾をし、お互いに精子のやりとりをした上でそれぞれが産卵をします。
 このカタツムリくん、倒れたコナラの上を徘徊していましたが、恋の相手を探していたのかもしれません。(De)