大阪府能勢町の野外活動施設「豊中市立青少年自然の家わっぱる」には哺乳類から植物や菌類まで、実に様々な生きものが棲んでいます。 しかも、その一つ一つを観察していくと、それぞれが生きていくために複雑に繋がり合い、森をつくっていることがわかってきます。ここでは、その小さな一つ一つの命を紹介しようと思います。

2019年5月22日水曜日

ナラメリンゴフシ

コナラの新芽のところに赤いおいしそうな実のようなものが付いています。
しかし、これは実ではありません。「ナラメリンゴフシ」という虫こぶと呼ばれるものです。「ナラメリンゴタマバチ」という小型のハチのメスが芽のところに産卵します。幼虫から分泌される化学物質により、異常な成長をし、このようにリンゴのようにふくらみ、幼虫はその中で育ちます。この虫こぶを割って、中をのぞいてみましょう。
中心部に小さな幼虫がいますね。幼虫たちはこの実のような虫こぶを内側から食べて大きくなります。見事な作戦と感心するばかりですが、さらにこの育った幼虫に産卵管を刺して寄生するハチのなかまがいるといいますから驚きですね。(De)

2019年5月21日火曜日

オオセンチコガネ

ひときわ美しく輝くコガネムシの一種です。大きさは2センチほど。色彩も変異が多く、緑色に輝くもの、赤紫のもの、また、特に奈良地方のものは青く輝くものが多く、「ルリセンチコガネ」とも呼ばれます。しかし、その姿とは裏腹に生態は美しいと言えるものではありません。この虫の好物は獣糞や動物の死骸で、メスは獣糞に卵を産みつけ、幼虫は糞の中で育ちます。「センチ」とは「せっちん(雪隠)」で、昔のことばでトイレのことを指します。とはいえ、変化に富んだ美しさで私たちの目を楽しませてくれることに違いはありません。(De)

2019年5月12日日曜日

アワフキムシ

ノイバラの若い枝に泡が付いています。指ですくってみると、
何か動いているものがいます。









アワフキムシの一種シロオビアワフキの幼虫です。
アワフキムシのなかまは成虫・幼虫とも植物の茎から水分とそこに含まれるわずかな養分を吸って生きています。幼虫はその水分と自身の排泄物で石鹸状の液体をつくり泡にしてその中で暮らします。この液体は界面活性作用がありますのでほかの虫などが一旦この液体にまみれるとたちまち窒息してしまいます。この泡で自身を守っているというわけです。自分たちは尾の先がシュノーケル状になっているので先を泡の外に突き出して呼吸をします。また、吸い込んだ空気を尾を引っ込めてから吐き出し、液体を泡状にしていきます。
昆虫の生態は多様ですが身を守る方法もまた、実に多様なんですね。(De)


2019年5月11日土曜日

森のあかちゃんたち

冬の時期に常緑の低木を伐採し、林床(りんしょう)を明るくした場所があります。そこをのぞいてみると、今年、種から発芽した実生(みしょう)と呼ばれる、言わば木のあかちゃんたちの元気な姿を見ることができます。どんな木が芽生えているのかな?見てみましょう。
目立って多いのはこのウリカエデです。
この種(たね)は翼が一枚付いていて、くるくると回転しながら落ちてきます。




コナラです。ドングリから発芽します。






クロモジです。いい香りのする木です。






サルトリイバラです。とげがあるので「イバラ」となっていますが、関西では柏餅をくるむのにも使われます。また、ルリタテハの幼虫はこの葉で育ちます。




ヒノキです。植林されることの多い木ですが、雑木林にも孤立して生育していることもあります。





このように、たくさんの種類の木が芽生えていることがわかります。けれども、これらが全てちゃんと育つわけではありません。植物どうしの競争や病気などに戦って勝ち抜いたものだけが大きく育つことができるのです。多くの種類の樹木が育つ森は同時にまた多くの種類の生きものを育む森でもあるのです。(De)


2019年4月30日火曜日

ヤマタカマイマイ(旅立ち編)

わっぱるにすむカタツムリ、ヤマタカマイマイです。
昨年、3個体を飼育していたところ、9-10月にかけて産卵をしました。
何回かにわたって産卵されたので、3個体とも産んだものと思われます。カタツムリのなかまは雌雄同体なのでいずれの個体も産卵することができるのです。
大きさはちゃんと測らなかったのですが、2ミリくらいです。





孵化直後の赤ちゃんです。カタツムリはちゃんと殻をもった状態で生まれてくるので、はじめからカタツムリの形をしています。多くの昆虫がするような変態はしません。脱皮とかもしません。ただ、殻の巻きが少なく、自ら殻を外側に伸ばし、巻き数を増やしていく形で成長していくのです。


直近の子どもたちです。径7~8ミリに育ちました。






これから夏にかけては、施設の中はカタツムリにとって厳しい環境になるので、親子ともども山に帰すことにしたのです。





山は山で危険はあります。鳥などの蛋白源でもありますし、カタツムリが好物のオサムシのなかまも狙っています。みんなが全て無事に育つことはありません。でも、みんな達者で成長して欲しいと願わずにはおれません。
「元気で暮らすんだぞーーー!」(De)

2019年4月29日月曜日

わっぱるのサクラたち(その2)

わっぱるの森ではヤマザクラの花と入れ替わるようにカスミザクラの花が咲いています。

花はヤマザクラとよく似ています。
拡大してみると花柄に毛が目立ちます。
同じ場所にある両者は花期が異なりますのでこの時期は容易に区別することができます。また、解説書などでは山地の分布はヤマザクラより上部となっていますが、わっぱるでは混在しています。
 ウワミズザクラも咲きました。わっぱるのサクラのなかまではレアものです。
総(ふさ)状に花がつくので総状花序(そうじょうかじょ)といって、サクラのなかまでは特徴のある形です。実は熟すと食べられるとあるのでちょっと楽しみです。(De)

2019年4月27日土曜日

マルバアオダモ・ザイフリボク

マルバアオダモの花が咲いています。落葉樹のこの木は若葉が出るや否や一斉に花がつきました。

「まるば」の意味は葉の形ではなく、葉の縁が鋸歯縁(ギザギザ)ではなく全縁(つるっとしている)という意味でつけられています。また、この木の材は強くて反発力があり、以前は野球のバットやテニスのラケットに用いられていました。イチロー選手が好んで使い、メジャーリーグで年間最多安打の記録を作った年はアオダモ製のバットを使っていたことは有名です。しかし、良材のアオダモは採りつくされ、今はアオダモ製のバットは製造されていないようです。
 マルバアオダモの梢に紛れてひときわ白く輝く梢があります。
ザイフリボクです。別名「シデザクラ」とも言われています。
花弁がほっそりとしているのが特徴です。よく、庭などに植えられるジューンベリーは近縁種のアメリカザイフリボクのことでジューンベリーが6月に実が熟するのに対し、ザイフリボクは9~10月に熟します。花の季節には葉の季節にはわかりにくい木の個性が際立ちます。観察にはもってこいの季節です。(De)