大阪府能勢町の野外活動施設「豊中市立青少年自然の家わっぱる」には哺乳類から植物や菌類まで、実に様々な生きものが棲んでいます。 しかも、その一つ一つを観察していくと、それぞれが生きていくために複雑に繋がり合い、森をつくっていることがわかってきます。ここでは、その小さな一つ一つの命を紹介しようと思います。

2019年6月19日水曜日

サンショウ3兄弟

サンショウに実がなっています。サンショウはミカン科の落葉低木で若葉や実は食材や香辛料として古くから利用されてきた日本人には馴染みのある木です。ウナギの蒲焼きにつき物の粉山椒(こなざんしょう)はサンショウの果皮から作られます。
よく似たサンショウのなかまにイヌザンショウがあります。
イヌザンショウ
葉の形などにやや違いはありますが、最もわかりやすい見分けのポイントは棘の付き方にあります。
サンショウの棘は対生です。







それに対して、イヌザンショウの棘は互生(たがいちがい)です。




さらに、わっぱるには葉も大きく樹高も高いサンショウのなかま、カラスザンショウがあります。
  これらミカン科の木は多くのアゲハチョウのなかまが繁殖する木でもあります。わっぱるではカラスアゲハやミヤマカラスアゲハをよく見ます。ひときわ美しいミヤマカラスアゲハはこの3種のうちではカラスザンショウでしか繁殖しないとされています。私たち人間にとってはサンショウが重宝され、栽培までされていますが、ミヤマカラスアゲハにとってはカラスザンショウが大切な木ということになりますね。(De)
カラスザンショウの成木。





ミヤマカラスアゲハ。

2019年6月18日火曜日

モリアオガエル

わっぱるにはプールのように底や側面をコンクリートで塗り固めて作った水遊び場があります。
秋から初夏にかけては使用することはなく、防災上の理由もあり、水を入れた状態になっています。そのため、ため池などを繁殖の場としている多くの生きものにとってはうってつけの場所になっています。
日没後だったこともあり、画質はいまいちですが、モリアオガエルのペアです。
このカエルは木の上に産卵するという、特異な生態をもっているのが特徴で、近年、生息数が激減しており、大阪府レッドデータでは準絶滅危惧種となっています。
上を見上げると、別の個体のものと思われますが、すでに生みつけられた卵塊があります。
卵塊は測ったように水面の真上にあります。孵化したオタマジャクシがちゃんと水面にダイビングできるためなんですね。お母さんガエルの深い意図をそこに見ることができます。(De)

2019年6月14日金曜日

ハネカクシのなかま

昆虫の世界は多様です。その中でもハネカクシのなかまはマニアや専門家以外、あまり脚光を浴びることのないどちらかというと目立たない存在です。しかし、ユニークな昆虫ではあります。アリのようなこのスタイル、でも甲虫目(こうちゅうもく)で小さな上翅の下にカブトムシやクワガタムシ同様、飛ぶための羽根がたたんでしまわれています。
急に飛び立ってトラップ(わな)から飛び出しました。
用がなくなればまた、しまわれます。
このハネカクシ、種類によっては皮膚炎を発症する体液をだすものもいるので、素手で触れないよう注意が必要です。(De)

2019年6月8日土曜日

ハナムグリのなかま

アオハナムグリです。花粉が好物で、花の中にもぐりこむのがこの名前の由来です。緑色の地に白い斑紋が入るこのデザインの種は多く、判別も容易ではありません。よく似たなかまにハナムグリがいます。ハナムグリは全体に毛深いので区別することができます。また、同じくよく似た種にキョウトアオハナムグリがいます。
「京都」と名前に入っていますが、関東地方南部以南の日本に広く見ることができます。画像のものはオスですが、メスはやや赤みのある金属光沢をしています。特徴は前胸部に白斑が入っていること、上翅(背中の硬い羽根)の付け根が少し窪んでいること、三角形の部分がやや赤みがかっていることで見分けることができます。
 そのほか、ハナムグリのよく似たなかまには樹液にもよく集まる「シロテンハナムグリ」や「シラホシハナムグリ」などがいます。見分けは簡単ではありませんが「何というハナムグリかな?」と調べてみるのもこの虫たちとの出会いの楽しみでもありますね。(De)

2019年6月5日水曜日

コシボソヤンマ

今月、わっぱるキッズ「川の生きもの観察」があります。先日、スタッフPoが大路次川でどんな生きものが観察できるのか、下調べを試みました。網ですくってみただけでしたが何種類かの生きものを見ることができました。その中で大型のヤゴ(トンボの幼虫)がいました。
首のところに棘のような突起があるのが特徴です。成虫はどんな姿なのでしょう?
ラッキーなことに、2年前、管理棟に入りこんできたときの画像が見つかりました。
 腰のところがキュッと細くなっているところが名前の由来だということがわかりますね。幼虫もそうですが、大ぶりで風格を感じさせるトンボですね。(De)

2019年6月1日土曜日

ホタルカミキリ

わっぱるの一角に風で倒れたり、間伐などで伐った樹木をさらに切って薪にするために乾燥させる棚(通称「まき小屋」)があります。
ここには、半分くらいはコナラですが、そのほか何種類かの広葉樹の伐採木が積まれています。
そこにこの虫が集まっています。






ホタルカミキリです。大きさは7ミリ~10ミリほどの小型のカミキリムシですが数は半端なく多いです。
カミキリムシの多くは特定の生木や枯れ木・倒木あるいは伐採された木で幼虫が育ちます。
そのため、しばしば植林された生産財や街路樹などの樹木を食害し、害虫として人間からお尋ね者扱いされます。図鑑などによるとこのホタルカミキリはネ
ムノキその他の広葉樹とありますが、ここの「まき小屋」では数種類ある広葉樹のうち、圧倒的の割合でイヌエンジュに止まっています。どうやらマメ科の伐採された木を好むようです。
まきにする木なのでそこは大目にみることにしましょう。(De)