大阪府能勢町の野外活動施設「豊中市立青少年自然の家わっぱる」には哺乳類から植物や菌類まで、実に様々な生きものが棲んでいます。 しかも、その一つ一つを観察していくと、それぞれが生きていくために複雑に繋がり合い、森をつくっていることがわかってきます。ここでは、その小さな一つ一つの命を紹介しようと思います。

2019年3月25日月曜日

シロタニカワカゲロウ

春間近とはいえ、まだまだ水が冷たい大路次川です。しかし、この中にはもうすぐ羽化する昆虫の水生の幼虫たちが春をまっているはずです。岩をひっくり返すと、
何かがうごめいています。
シロタニカワカゲロウの幼虫です。流れの緩やかなところの岩の表面にいて、岩に付く藻類を食べて育ち、あと一ヶ月ほどすると、一斉に羽化が始まり、川は賑やかになるのです。(De)

2019年3月22日金曜日

シキミ


シキミの花が咲きはじめました。シキミは古来より、仏様に供える植物として大切にされてきましたので、日本人にとっては馴染み深い木といえます。成木もせいぜい2~5mとさほど高くなく、わっぱるの森ではヒサカキ、アセビなどとともに林床部を構成する常緑樹です。濃い緑の中に散りばめられたように咲く淡い黄色の花々は見ごたえがあります。しかし、この木は有毒植物で、特に実に含まれるアニサチンという物質は猛毒で誤食すると死に至る場合があります。観察プログラムなどでは誤って口に入れることのないように十分な注意を要する植物でもあります。(De)

2019年3月15日金曜日

テングチョウ

 昨日は雪が舞ったわっぱるですが、今日の日中は温度も上がり、春を待ちわびた成虫で越冬していた虫たちも動き出したようです。チョウのトップバッターはこのテングチョウです。まるで、春の日差しを満喫するように、陽だまりで羽根を休めています。口の先が飛び出ていて、天狗のように見えるのが名の由来です。幼虫はエノキで育ちますので、エノキのあるところでしか見ることはありません。わっぱるにはエノキはほとんどないのですが、里山には普通にある木なので、わっぱるの周辺で繁殖しているものと思われます。テングチョウが現れると春はもうすぐです。つまり、春を運んでくるチョウですね。(De)

2019年3月10日日曜日

ヤマタカマイマイ

わっぱるの森で見つかったカタツムリのなかまです。この種の分布は北陸から中国山地にかけてとされており、大阪府下では能勢町北部のほかで生息が確認された記録はありません。全国的にも稀少で、環境省レッドデータでも準絶滅危惧に指定されています。
 そもそも「カタツムリ」という生物学上のジャンルはなく、陸に棲む巻貝のなかまを「陸産貝類」と言われますが、一般的に「カタツムリ」とか「デンデンムシ」と呼んでいます。ただ、殻が退化して無くなったものをふつう「ナメクジ」と呼んでいますが、分類上は同じ「陸産貝類」になります。
 また、カタツムリのなかまは移動能力が乏しいので、環境変化に弱く、長い間、同じ自然環境が維持されているところに、局地的、局所的に生息している場合が多いのです。そのため、地域毎に種分化が進んでいて、日本国内におよそ800種いるといわれています。手の上をゆっくり動くカタツムリの感触、ひんやりとして悪くありませんよ。(De)