大阪府能勢町の野外活動施設「豊中市立青少年自然の家わっぱる」には哺乳類から植物や菌類まで、実に様々な生きものが棲んでいます。 しかも、その一つ一つを観察していくと、それぞれが生きていくために複雑に繋がり合い、森をつくっていることがわかってきます。ここでは、その小さな一つ一つの命を紹介しようと思います。

2019年9月1日日曜日

セミの季節

梅雨が明ける前後からお彼岸が明けて秋風が吹くころにかけて、わっぱるの森はセミの合唱で賑やかになります。最初に夏の到来を告げるのはニイニイゼミです。
ニイニイゼミ
「チーー」という単調な響きですが、途中で微妙に音程が変わり、ニイニイゼミ一種類だけが一斉に鳴く森はかえって静寂さが際立つようで、神秘的な雰囲気を醸し出します。
ニイニイゼミの抜け殻は成虫同様、ほかのセミより小ぶりで、大抵どろをかぶった状態で残っているので見分けは簡単です。
ニイニイゼミの抜け殻

ヒグラシは早朝や夕暮れ時のやや薄暗いときに限って鳴きます。「カナカナカナカナ」と、まるで薄暗さに合わせたように悲しげな響きです。
ヒグラシ
胸部の背中部分の両端に鮮やかな青いラインが走っているのが見分けのポイントです。
手に取ると美しいセミですが、木に止まっていると目立ちません。
木に止まっているヒグラシ
概ね一夏中通して鳴くのがアブラゼミです。7月に入ると森はニイニイゼミとの合唱になります。
アブラゼミ
翅が褐色で不透明ですが、木肌の色に近く目立ちません。
8月に入るとミンミンゼミの声がひときわ目立つようになります。「ミーンミンミンミンミー」とはっきりとした旋律で大きな声で鳴きます。
ミンミンゼミ
関東の方では平地でも普通に見られるセミですが、西日本では平野部ではほとんど見ることができず、このセミの声をきくと、少し得をした気分になります。
わっぱるではお盆の前後からツクツクボウシが鳴き出します。晩夏を告げるセミです。
ツクツクボウシ
「オーシンツクツク・オーシンツクツク・・・オシオーシ」というような独特の旋律で鳴きます。子どもの頃、このセミの声を聞くと残り少ない夏休みを実感し、悲しくなったものです。
今日現在、わっぱるはこのツクツクボウシが主役でミンミンゼミが脇を固めます。そして時々か細くアブラゼミが最後の力を振り絞って鳴いています。
9月に入り、セミの合唱隊も最終楽章です。(De)

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